GLOBE Lab.

グローバル化における組織・人事変革コンサルティングと資産設計のポートフォリオデザイン

SHRM2018:これから求められるHRの役割①

6月17日-20日SHRMという世界最大の人材マネジメント協会のカンファレンスで、US Chicagoに行ってきました。
20,000名を超えるHRプロフェッショナルが参加しており、世界中でHR(人事)の重要性は年々高まっています。

 

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SHRM2018の主要テーマ

・Talent Management
・Leadership Development
・Global Human Resource Development
・Organizational Culture
・Innovative Design
・Diversity & Inclusion Development
・Health Care & Well-Being
・Neuroscience
・Strategic HR
・HR Technology
・People Analytics

 

SHRM2018セッションを踏まえて考える、これからのHRに求められる2つの役割

①タレントデータと財務会計システムを連携させ、人事データを戦略的に管理していくこと
(Strategic HR・People Analytics・HR Technology)
②ニューロサイエンスなどの検証データを活用し、より人間的な職場環境を設計することでイノベーティブ・ダイバーシティ環境(場)を創造していくこと
(Neuroscience・Innovative Design・Diversity & Inclusion Development)

特に欧米企業のHRは、①が圧倒的に進んでおり、日本や東南アジアで「今」トレンドとなっているHR Technology活用は既に大前提のもと、実行から検証、また再定義の議論がされているということです。
①に関して日系企業は「一周半」遅れている印象を強く受けました。

 

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人事データを戦略的に活用し、組織の未来予測を行うこと

「People Analytics」「HR Metrics」「Strategic HR」をテーマとしたセッションが多かったように、人事データを活用し、戦略人事を実行していく「前提」での議論が多く展開されていました。

またそのデータ活用の目的を経年比較・ベンチマークデータ比較だけに終わらず、
ハイパフォーマーの能力定義、ダイバーシティ環境と生産性の関連性データなど、組織の未来予測を行う目的で活用する必要性が提言されていました。

People Analyticsを推進してくステップについてまとめられているセッションがあったのでご紹介します。
(※People Analytics=社員の行動特性データ・思考特性データを集めて分析し管理することで、組織の生産性を高めていく手法)

<People Analytics Step>
1)Define Strategic Questions:分析すべき指標の明確化(ベンチマーク指標の設計)とそれを導き出す「問い」の設計
2)Design data model:データ共有方法のデザイン
3)Create data dictionary:データ蓄積先「倉庫」の設計
4)Clean & complete data:データ内容のBrushUp
5)Assign designed owners:ベンチマークデータを踏まえて責任者のアサイン
6)Set data governance & controls:データアクセス権限の明確化
7)Consolidate datebase & implement technology:最後にそのデータを管理できるHRソフトを確定していく

日本におけるHR Techの活用は、Step⑦のHRソフトを選ぶことから入る傾向があると感じていますが、そもそも未来の組織をクリエイト(創造)していくために、どのベンチマーク指標を立てるのか、そのベンチマーク指標を明確化していくための「問い」は何なのか、まずはStep①から議論していく必要性があるでしょう。

働き方改革・生産性向上が議論されている日系企業において、People Analyticsの実践は、必要不可欠であると私は考えています。
Google、Facebook、Walmartなどグローバル企業は、“HR Analyst”などという名称で専門部署・専門家を設けるまでに至っています。
属人的な人事から脱却し、テクノロジーをうまく活用することで、戦略人事を実行していきましょう。

 

そもそも人事の役割の再定義(Re-Inventing Human Resources)

職場環境のダイバーシティ化、HR関連のテクノロジーの発展に伴い「そもそも人事の役割」を再定義(再発明)するセッションも印象的でした。
 
現在と3年後を比較してHRの役割定義で上昇するキーワードは下記の2つ。
・Diversity & Inclusion(+16%UP)
・People Analytics(+22%UP)
また、ダイバーシティ環境とパフォーマンスの相関性において、
ダイバーシティ度が高い職場の方が組織の収益率が21%高い研究データも紹介されていました。(ダイバーシティ×パフォーマンスの相関性は我々でも調査する予定です)
 
これから求められるHRの役割をまとめると下記の5つで紹介されていました。
1)People Analytics utilizing HR Technology
2)Developing digital Workplaces
3)Diversity & Inclusion Development
4)Human Centered Design
5)Personalized Learning
 
急速に進むグローバル化と技術革新の中で、組織の在り方や人の働き方も多様化し、
「組織・人事」の重要性は全世界で高まっていることは間違いありません。
 
次の記事では、これから求められるHRの役割②で掲げたイノベーティブ・ダイバーシティ環境という「場の設計」ついてまとめます。